初夏の夕方。

西荻窪での打ち合わせを済ませて

駅に向かって住宅街を歩いていると

突然、後ろから声をかけられた。

「ちょっと、あなた」

振り返ると、腰を丸めて杖をついた

小さなおばあさんが

眉間にシワを寄せながら

足早にこちらに近づいてくる。

 

その10秒くらいの間

私はきっと自分がどこかで大きな

間違いをおかしてしまってのではないかと

急速に不安になり、勝手に分析してみた。

 

「気づかぬうちに小さな虫を踏みつぶしていて

実はそれがおばあさんのペットだった」とか

「わたしが歩いた水たまりの泥がはねて

彼女が着ている高級ブランドのスカートに

黒いシミをつけた」とか。

 

あるいはもっと何かあるのかー…

 

気づいたらおばあさんは目の前にいた。

そして、私…ではなくて

なぜか私の赤色のバケツ型をした

ショルダーバッグを凝視していた。

 

「ねえ、あなた。バック。

口、空いてる。

閉めときなさい。

悪い人が財布を抜き取るかもしれないわ」

 

と言ってさらに険しそうな顔をした。

 

その一言が、舞台やドラマのセリフのように

物語的な言い方だったことに驚いた。

 

私は、

確かに。ごめんなさい。

ありがとうございます、と言って

反射的にマグネット式のバック口を「パチン」と閉めた。

すると「よし」と小さな声が聞こえた。

 

「急にごめんなさいね。

けれど、まったく世知辛い世の中なのよ。

何があるかわからないの」

 

と言ってそのおばあさんはニコリと微笑みかけて

私をすり抜けて颯爽と歩いていってしまった。

 

 

 

 

*    *   *

 

 

なんだか面白い出来事だったので

書き留めておこうと思いました。

あのおばあさん、まじかっこよかったな…。

 

毎日不思議や面白いものが

転がっています。

それに出逢うのが、日々の醍醐味というものかもしれませんね。

 

エフイチ制作は本格的に次号の編集作業に入っています。

がんばろう!(かばんの口は閉めようね。

 

 

by lodnel


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